Naomi Letter No191(2025年5月)

CIao a tutti!

皆さま、いかがお過ごしですか?

5月・・先月逝去したフランシスコ教皇の後を継ぐ、新たなローマ教皇選出のためのコンクラーベ(枢機卿内教皇選出選挙)は5月7日から始まり、当初の予想よりも早く、2日後の5月9日には第267代目新ローマ教皇レオ14世が誕生しました。

このコンクラーベの期間(まるで“根比べ”の様な)は誰もがその動向に注目し、教皇選出のニュースが流れると実際に発表されるまでの間に一体誰が選ばれたのか、教皇名は何かと予想しあっていました。

何を隠そう私自身も、テレビのライブ配信で新教皇の登場するシーンを逃すまいと構えました。
”とても人間らしい”それが私のレオ14世に対する第一印象です。最初のお言葉の途中で、感極まって言葉に詰まったり緊張されている様子というのが見受けられたのです。 私の周りでも、それが逆に親しみが持てて好感となったと言う声を多く耳にしました。この印象通り、人々や世界に寄り添ったローマ教皇であって欲しいと思いますし、前回も書きましたが宗教関係なく、誰もが平和な世界を祈る世の中となる事を願うばかりです。

私事では、そのコンクラーベ開始の前日5月6日に我が家の次男が19歳の誕生日を迎えました。
正直大変取扱いの難しい次男には、いつも感情を掻き乱され振り回されてばかりいて、その数日前から『今年はケーキすら作るものか!』と怒りを抑えられずにいたのですが、それはあまりにも大人気ない気もして、結局お寿司ケーキでお祝いしました(苦笑)。この時期、過去のSNSの投稿で息子達がまだ幼かった頃に毎年作っていたケーキの写真を目にする事が多かったのですが、我ながら徹夜で良くやったなぁと感心です。

お寿司ケーキ

その次男、いよいよ高校卒業までラストスパート!
ここにきてやっと勉強している姿を目にするようになりました(苦笑)。何しろイタリアは、学年終業後に高校卒業の国家試験が控えているのです。高校卒業後にどうするかは更にその後の話で、とにかく無事に高校卒業という一つのゴールに辿り着いて欲しいというのが今の母としての思いです。

そしてちょうど3年前の今頃、自宅から500km以上離れたトリノのポリテクニコ工科大学を目指すと決めて入学試験を受けた長男もまた、最初の3年間の大学カキュラムが終わりに近づいています。
夫が長期間仕事で留守にする事が多かったので、小学生の頃から外国人の母親(私)をほとんど頼らず何でもこなしてきた長男も、ここへきてかなりのストレスを一人で抱えていた様子。数ヶ月前から体調を頻繁に崩していたので、これはサポートが必要と、今月は夫と私が別々にトリノの長男のところに行ってきました。

ポリテクニコ工科大学

1年間の兵役義務期間をトリノで過ごした夫と違い、全く土地勘のない私も、今回は長男とよく歩いたり一人でトラムに乗る機会を得たり、長男と一緒に大学のキャンパスに入ってみたり・・やっとどんな街で息子が大学生活を送っているのかを実感する事ができました。

それにしても街中には外国人ばかり。観光客でなく移民外国人です。
という私もイタリア国籍ではないので移民に違いないのですが、市場でのやり取りも中国系・アフリカ系・中東系・・ 何語かわからない会話ばかり耳に入ってくる感じでした。
かつてお客様に『貴重品には充分気をつけて』と忠告していた元添乗員の私が、今回長男に幾度『バッグ気をつけて!』と言われたかわかりません。

グローバル化という言葉はよく使われます。
私自身海外に憧れてこうして海外生活をする人生を送っているし、多様性多国籍、それは素晴らしい事だと思ってきました。ただ、今のイタリアの現状はかなり異様さを感じます。これは人種差別という話ではありません。

同じ言語、同じ文化、同じ倫理・道徳感などを一緒に守り大切にできる集団が国家であり、良いものそうでないもの、その価値観の違いが著しい人の集まりはもはやその国ではなくなってしまう気がします。勿論、『みんな違ってみんないい』と言う違いを尊重し合うのは、また別の話で。そんな危機感を抱きながらも、中国人の食料品店でちゃっかり日本の冷凍納豆をゲットし次男のお土産に買って帰ってきました。

6月8日9日に、イタリアでは労働と市民権に関する国民投票が行われます。その中の一つの案は、非EU国外出身の外国人がイタリア国籍を取得する為に、今までの法的居住10年という条件を5年に短縮する事に賛成か否かです。

少し暑くなって来て、気付くと床で仰向けになっている
ミルタ

この移民の多い現状で、更にイタリア国籍取得が簡単になってしまって良いのだろうか?投票権もなければ外国人である私ですが、今回のトリノの様子を見て考えてしまいました。どんな結果となるでしょうか? それは次回のイタリア便りにて。
ということで、今回はこの辺で。
皆さま、何卒ご自愛くださいませ。

Ciao alla prossima!

イタリアのアッシジから奈緒美でした。