Naomi Letter No.162 (2022年11月)

皆様いかがお過ごしですか?

小春日和の穏やかな日々が続いていたイタリアも、11月下旬となりやはりじわじわと寒くなってきました。10月最終日曜日から冬時間となり、このアッシジでは日の出が大体7時10分、日の入りが16時40分という今日この頃です。

この冬のヨーロッパのエネルギー供給はかつて無いほど厳しく、その価格高騰が庶民の生活をより苦しくさせると言われ続けています。のどかな田舎の我が家の辺りでは暖炉に頼る家も多いのですが、ガス代電気代の高騰から一度暖炉離れをした家庭が薪暖炉を復活させようという動きもあり、今度は薪の価格も上がっております。その様な中、11月前半までの例年に見ない暖かさはとてもありがたいものでした。

最近は省エネ対策の一つという事で、今まで一晩中灯されていた街中の街灯が夜中2時すぎには消灯されるようになってしまいました。しかも、各家庭も省エネ及び電気代の節約として外灯を消すのが習慣になりつつあるようで、私の10年目となるご近所さんとの早朝ウォーキング5時50分の出発時は、かつて無いほどの真っ暗闇に包まれています。勿論、エネルギーを節約する事は大切でそれに対しての異議はありませんが、ここまで真っ暗闇だと事故や泥棒など治安上のリスクが頭をよぎるのも事実です。

さて、この時期中部イタリアから南部はオリーブの収穫で大変忙しい季節です。

今年は我が家の庭の二本のオリーブの木も実をつけてくれました。庭のオリーブはアスコラーネ種と言って粒が大きく油ではなく食用として用いられるオリーブです。収穫したオリーブは4キロ弱ありました。10日間はアク抜きの為に変え水をしてつけておき、今は食塩水の中で漬けている段階です。苛性ソーダを使ってアク抜きをすると早いのですが、天然素材以外には頼りたくなかったので食べられるようになるまでにはひたすら待つのみ。時間がかかるのは仕方がありません。

我が家の所有していた畑は既に友人に譲ってしまいましたが、代わりに夫の同僚の広大なオリーブ畑での収穫に助っ人として参加しました。夫の同僚は『もう幼い頃からずっとしてきている作業なのでうんざり』なのだそうなのですが、私の参加した日は小春日和で周りの紅葉を眺めながらの作業はとっても心地よく、こんな機会が持てる事に感謝する思いでした。私は背が低いので主に膝をついて下の方の実を収穫を担当していました。確かにこの作業を数日間続ければ足腰支障は出て来そうです。今年はこの辺りは豊作で、この夫の同僚のオリーブ畑では3回に分けて総量3トン近いオリーブを搾油場に持ち運びました。エキストラヴァージンオリーブオイルとしての搾油をするためには、収穫から72時間以内には搾油しなければなりません。その為、予め天候を見ながら搾油所の予約を入れておき、それに合わせての収穫作業となるわけです。というのは、搾油所もこの時期はフル回転なのですね。

私も加担した収穫分の搾油所の予約時間に、製油工程をまだ見たことがないと言う次男を連れて見学に行かせてもらいました。収穫されたオリーブの重さを測り、余計な枝や葉を取り除き洗浄した後で挽かれて絞り出すまでの一連の作業を見ることができ、オリーブオイルとなるまでにはいかに手がかけられているのか。そして一滴でも無駄にすまいという搾油所のスタッフの丁寧な対応に心がとても豊かになる思いがしました。写真を添付するのでなんとなくのイメージをご覧くださいね。

先月ホームシックを心配した長男の方はというと、今月は好きなサッカーチームユーヴェントスのホームの試合に、地元から同じくファンの親友くんがトリノ入りして一緒に観に行ったり、トリノで行われていたテニスのNitto ATPファイナルズ観戦に、やはり地元からトリノ入りした別の友人と行ったりとイヴェントの多い月でした。大学生活にも大分慣れて来た様子です。トリノの中心地を歩いていたら好きなテニスプレイヤーと遭遇し写真を撮ったりもして、トリノに暮らしているからこその体験が出来ているようです。

10月末から11月頭にかけて帰って来た時には、友達との約束が夜中まで続きほとんど自宅に居ませんでした。次の帰宅はクリスマス休暇で12月22日です。次回は長い滞在になりますが、長男も地元の仲間たちもクリスマス休暇明けには大学での重要な試験が控えているので、気晴らしは必要ですが勉強もしてもらわなければです。しかし、本当に月日が経つのは早いですね。

2022年も残すところ1ヶ月ちょっととなりました。

なかなか平穏無事な世の中という雰囲気にはなりませんが、世の中の動きに振り回される事なく自分軸をしっかり持って日々過ごしたいと思います。

皆様も何卒お身体ご自愛くださいませ。

Ciao alla prossima!

イタリアアッシジから奈緒美でした。