Naomi Letter No168 (2023年5月)

Ciao a tutti!
皆様、いかがお過ごしですか?

広島でのG7会議は、突如ゼレンスキー大統領のリアル出席というサプライズもあり、
おそらく警備に当たられていた方々は相当な緊張感があったのではないかと思うのですが、
無事に閉幕し、また高い評価も得ている様で何よりでした。

イタリアでは本来初夏の良いお天気に恵まれるべく5月なのですが、今年は前半非常に寒くてなかなか冬物の上着を離せずにいました。5月中旬にも、思わず、暖房をつけたという家庭も我が家を含めて多くあった様子です。

イタリア全土で悪天候が続き、私の住む中部イタリアもかなり激しい雨や雹が降ったりする日が続きました。幸いこの辺りでは水不足の解消くらいの域にとどまったのですが、蜀の都ボローニャを州都とするエミリアロマーニャ州では多くの地域が浸水する被害に遭い、その水が1週間を過ぎても引かずに今でも被災地の方々は大変な日々を過ごされています。

日本でも大きな地震が起きたりもしていますし、改めて自然の中で生かさせてもらっている小さな存在である人間というのを感じずにはいられません。せめて人同士、国同士の様な争い事はこの世から消え去って、ただただ平和に共存することだけを考えられればいいのですが。

さて、いつもに増して目まぐるしく過ぎ去った5月でしたが、その中で私自身はとても貴重な体験をすることができました。イタリアにいながらなんと日本の能楽を鑑賞する機会に恵まれたのです。
大理石彫刻家の安倍大雅さんの彫刻の個展と能楽とのコラボレーションが、なんとこのウンブリア州の州都ペルージャで実現しました。安倍さんの作品は、日本にとどまらずトルコのカッパドキアやすでにこのペルージャにも置かれています。何しろ扱われているものが大理石。そんなに簡単に運べる作品ではありません。あのミケランジェロも彫刻を掘るために籠ったイタリアトスカーナ州のカッラーラ、その地で安倍さんも制作活動をされていたとのことです。26年前にペルージャの外国人大学に通い、いつか必ずこの場所で個展を開こうと決意したと言われます。それがこのたび実現に至りました。そしてその大理石の作品のバックに能の映像を映し出す演出が施されました。
企画を煮詰めているうちに、映像ではなく実際に公演できないかという思いが強くなったのだそうです。安倍さんと能楽師山井綱雄氏とは10年来の友人で、お互いを尊敬し合う間柄とのこと。なんと偶然にも、その山井綱雄氏の事務所に私のかっての旅行会社勤務時代 (かれこれ30年以上前)の先輩が働いていて、今回の来伊に同行されたのでした。
そのような偶然のご縁から、イタリア滞在中の公演に関する予定以外の時間を有効に使うためのお手伝いに、少しだけ携わらせていただきました。そしてペルージャのプリウリ宮殿内の公演を招待客席にて鑑賞させていただいたのでした。改めて日本の伝統文化の素晴らしさを、イタリアにて感じることができたとても貴重な体験でした。

それ以外にも何かと予定やハプニングに見舞われた5月。
そうそう、トリノで大学生活を送っているジュリアーノが、ある日友人宅に行くためにバスに乗車、停留所で降りたところに子供数人に襲われて、金のネックレスを奪われたというショッキングな出来事がありました。首が切れなかっただけ幸いでした。4月にヴァレンチーノも金のネックレスを取られてしまう事件があったばかり。2本とも私が譲ったもので二人がお守りと言ってつけてくれたものだけにショックは大きいのですが、 お守りの役割として大難が小難になったのだろうと気持ちを落ち着かせるしかありません。今は何もかも物価上昇につき生活は厳しくなるばかり。やっと戻ってきた観光客で賑わって喜ばしいことながら、そのような事件の話も多く耳にしますので、もしこれから旅行される方は十分気を引き締めて貴重品管理をなさってください。

それではまた。お身体ご自愛くださいませ。

満月の日の朝のウオーキング中のお月様

Ciao alla prosshima
イタリア・アッシジから奈緒美でした。