奈緒美のイタリア便り

No142
(2021年2月)

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CIao a tutti!

皆さまいかがお過ごしでしょうか?

まず初めに、
今月13日に起きた東北の地震において被害に逢われた方々に
心よりお見舞い申し上げます。
10年前の東北大震災を彷彿させる様な揺れだったと耳にしました。
夜分遅い時間だった事もあり、さぞかし不安を感じられた方が多かった事と思います。
どうぞ、これ以上大きな被害をもたらす災害が起こりませんように、
強く強くお祈りしております。

 同じ2月13日に、イタリアでは新政権が誕生しました。
1ヶ月前の1月13日に政府崩壊の危機が訪れたコンテ内閣。1月26日にはジュゼッペ・コンテ元首相は辞任を表明しました。それでも、下院における指示が強かったコンテを、その後マッタレッラ大統領が要請し、三度目となるコンテ政権が誕生するのだろうと言う見方もされていました。
ところが、実際要請されたのは元欧州中央銀行総裁と言う経済界のエリート、マリオ・ドラーギ氏。かつてのユーロ危機を救ったとされる通称スーパーマリオが、今度は自国の史上最悪的な経済危機を救う事ができるのか、期待と注目の集まるドラーギ新政権のスタートです。

さて、新型コロナウィルスの状況はと言いますと、
イタリアは今尚毎日の死者が300人台と三桁の状況です。
2月25日の時点で国内累計感染者数が285万人、その内回復者数が236万人.死者は96666人となっています。もう数字が大きすぎて、不謹慎ですが感覚が麻痺してしまいますね。

私の住むウンブリア州では、1月の終わりにやっと高校も登校生徒数を調整しつつ、出席授業となりました。別々の高校に通う我が家の息子二人も、それぞれ週に3日ずつは登校再開となって、やれやれと思うのも束の間、次男の通うペルージャ市はすぐに学校閉鎖を決め、追って長男の通うアッシジ市を含むペルージャ県全域での学校閉鎖が決定してしまいました。授業は再び100%オンラインに。これは、ウンブリア州の中で、新たなイギリス変異株やブラジル変異株への感染者が増えている事を考慮しての事だそうです。ウンブリア州独自の州令により、首相令ではオレンジゾーンとされている州内において、ペルージャ県全域とテル二県のいくつかの市をレッドゾーンに指定したのでした。それにより、私の住むこのアッシジはまたロックダウン真っ只中です。
イタリアで最初にこの新型コロナウィルスによるクラスターが出たのは、丁度一年前の2月21日でした。一年経っても私たちはまだ上手にこのウィルスとは共存できていない様です。

 予防接種状況はというと、
私の把握している限り、私の周りではまだ接種した人を知りません。
次男が持病の治療で通っているローマの病院で、看護師さんや医師達の会話の中で、自分はいついつが予定日だと口にされていたのは耳にしましたが。

テレビがついていて、たまたまニュースを目にすると、
予防接種の様子が報道されたり、インタビューを受けた人が"普通の世界に戻るために、7割の人が受ける必要があります。一刻も早く一人でも多くの人が受けられる様に"と訴えています。

 公表されている統計によりますと、イタリアで今接種されてうるワクチンは、アメリカのファイザー社、モデルナ社、そしてイギリスのアストラゼネカ社のもので、昨年12月27日から接種が始まり現在までに一度でも接種した人は247万207人、そのうち二度の接種を完了した人は135万124人で人口の僅か2.24%だそうです。

 このイタリア便りを書いている間に、早速ドラーギ首相による首相令が発表され、現在有効の首相令の期限が3月6日から4月6日まで延長となるようです。イースターもこの中に含まれます。

私個人としては、当然一日も早く自由な生活が戻って欲しいとは思うのですが、と言って、“だから1日も早く一人でも多く予防接種を"と言う流れになる事を正直懸念しているので、
日本もイタリアも、勿論世界中の人々がこれ以上精神的なダメージを受けない様に、早く明るく暖かい日々が訪れて新型コロナウィルスと上手に共存できる希望の光がさしてくれる事を願っている次第です。

 先日ある方の配信で、なるほど深い!と思った言葉があるのでシェアさせて頂きます。
戦争や争い・分断などのない世界を祈る時、私達は平和を祈りますが、
実はそれらの反対語は平和ではなく"調和'なのだそうです。

"各々の違いを知り違いを認めて敬いその上で和を目指す"。
全てにおいて、調和の取れた世の中を目指しましょう。

 少しずつ春の便りが届く様になりました。
季節の変わり目、皆さまどうかお身体呉々もご自愛下さいませ。

 Ciao alla prossima!

イタリア・アッシジから奈緒美でした。