奈緒美のイタリア便り

No137
(2020年9月)

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Ciao a tutti!

皆さま、如何お過ごしですか?
新型コロナウィルスや自然災害のニュースに加えて、政治界も色々と騒がしげだった
2020年も残るところ3ヶ月強となってしまいました。
日本は美しくて美味しい季節になりますね。
こちらイタリアでは、新型コロナウィルスの新たな感染者数は相変わらず多く、つい最近我が家の隣町でも死亡者が出てしまった状況ですが、学校側がそれぞれ万全の対策をとり、登校とリモートを組み合わせつつ新学年がスタートしています。
ウンブリア州において、本年度の学校始は9月14日でした。
このイタリアでは、例年8月末に教職員の移動が発表されるのですが、必ず幾つかの教科の担当教師欠員状態と言う、日本では考えられない事態でスタートとなる新学年に私もだいぶ慣れてきました(笑)。しかしそれに加えて今年はコロナ禍。学校側は次から次へと出される国からの指示の下、対応に追われていましたが、保護者の不安は通学の足となる路線バスにも。バス停での混雑はコロナ対策に反しないのか、学生達の安全は保証されるのか。それに対して運営するバス会社側もギリギリまで返答する事ができず、いざ定期券の購入をしようとしたら案の定窓口は大混雑!諦めてとりあえず切符で対応しつつ様子を見ると言う、いかにもイタリア的な始まり方をした新年度でした。
 公共の交通機関が皆無に近い私たちが住む地区の様なところでは、高校毎にスクールバスがある訳でなく、高校生は各家庭で送り迎えをする以外は、通学用に設定される路線バスを利用するしかありません。いくら学校側がクラス毎の登校時間をずらしても、バスは時間差を持って設定されるわけではないので、学生達は一気に同じ時刻のバスに乗り込むしかないのですね。
 学校内では入り口と出口を分けたり、学生間の机の感覚を開けたり、生徒や教職員のマスク着用を義務付けたり、休憩時間でも教室内に留まるとし、他のクラスの学生と接触する事を禁じたり消毒を頻繁に行ったりしたとしても、学校の登下校に思いっきり密になる訳です。
 学校開始2週間前になってやっと、ウンブリア州内全体で合計100台のバスを増便される事が決定されました。バスの乗車率を最高80%に止める為に、通学する学生の多い路線はその分バスを増便して対応する為で、バスの運行時間に選択が増えるわけではありません。その為私たちの住む様な小さな地区では、バス停のある道や発着地となっている広場は大型バスで大混雑!長男の通う高校のあるアッシジの終点バス発着所も、その時間帯はそれはそれは大渋滞状態となっております。もっとバスの時間も
間隔おいて設定すれば良いと思うのですが、そう簡単にはいかない様です
学生達は当然バスの中でも学校でもマスク着用が義務付けられています。
次男の高校は全校生徒1800人以上と言うマンモス校でもあるので、予めコロナ対策としての規則がいくつか記され、例えばマスクを忘れた生徒は校舎内に入れてもらえません。但し予め、持ち物にマスクの予備を入れておく事と言う連絡事項があり、しかも各生徒に2枚ずつのマスクが配られました。校内で、マスクを外したり予防の為の協力行為に反する態度が見られ、注意をしても改善が見られない際には成績に影響するだけでなく、停学処分とする可能性もあるとされています。受ける教科によって教室移動をしなければならないので、各教室には消毒液が設置されていて、生徒達は頻繁に手を消毒し、机なども授業ごとに消毒を行なっているそうです。
学校でそれだけ徹底されていても、下校後には仲間で集まったり週末はチェントロ(町の中心地)はマスクをせずに密集している様子が見られたりしているので、どこまで感染予防になっているかは疑問ですが・・
何はともあれ新学年はスタートし、次男も高校一年生。新しい環境に少しずつ慣れていく事でしょう。実は安倍元首相と同じ病気持ちの次男は、ロックダウンで先の延ばしにしていた年一回の検査入院が皮肉にも学校開始の翌日から4日間になり、その翌日から日曜日を挟んで5日間は校舎がイタリア国民投票の投票会場となるために臨時休校となり、初日から10日目にやっと普通に通い出したところです。
相変わらずギリギリまで何がどうなるか分からないイタリアではありますが、
でも、やはり何とか前に進む事が出来てしまう。
日本みたいにすべてきっちりしていなくても、終わりよければ全てよし?
何故か最後は何とかなるというこの国の特徴をまた実感した次第でした。
ところで、通学バスの増便に伴い、何とお呼びがかかった夫。
観光バスの運転手で近年は主に中国人のツアーが多かった夫は、今年1月中旬に帰宅し、その後春節で訪れる中国人ツアーで出発するはずだった所で中国が国境封鎖となり、以来ロックダウンも経て8月末に1日だけイタリア人のグループの運転に出ましたが、要するにずっと無職状態だったわけです。。
そこに学生の通学バスの運転手の話。
初めて会ったそのバス会社の社長の印象はとても誠実そうで、既に所属しているドライバーさんの間でも評判が良いそうです。勿論支払いの期限が正確に守られるかどうかも仕事を引き受ける上では大事な話です。残念ながら、コロナ以前にも働けど働けど支払いは先延ばしという理不尽な話はいくらでも聞いてきたので。 
バスは30人乗りの小さなものですが、学生との接触が無いように運転手席はガラスでガードされています。正式に仕事開始となる14日前には、裁判所に出向き、過去に幼児や未成年虐待等の前科が無いという証明書を取り提出する必要がありました。これは私にとってショッキング(良い意味で)で且つなるほどなと思う事柄でした。日本でもこう言う職業につく人物に関しては、子供達を守る為にきちんと調べてもらえているのでしょうか?
夫の担当となった路線は我が家からはかなり離れている地区で、朝5時起きの生活となり、かなり家々の間隔も離れているのでルートを覚えるまで大変だったり、舗装されていない場所が多い為に雨の日はバスの掃除が大変のようですが、多分バスの運転手としての自分のキャリアの仕事となりそうだと言っております。観光バス一本だったドライバーキャリア、主人の年齢で方向転換だなんて、ある意味新鮮です。人生わからないものですね〜
つい数日前まで暑い暑いと言っていた日々、
一気に気温が下がり早速我が家では暖炉をつけ始めました。
皆さまもどうぞお身体に気を付けて、日々お過ごし下さいませ。

                              Ciao alla prossima!

                       イタリア、アッシジから奈緒美でした。