奈緒美のイタリア便り

No131
(2020年2月)

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Ciao a tutti!
皆様、適切な予防のもとでお元気にお過ごしでしょうか?
このイタリア便りを書き始めた時には、イタリアでも日本でも(恐らく世界中で)最早この話題ばかりと言う新型コロナウィルスの話題に触れず、別の話題のみにするつもりでした。
ところが、書いている間にイタリア国内での状況が急変し、今日の時点で死者5名、感染者219名。日本を抜いて第三の感染国 (注:日本でのクルーズ船感染者は数に入れず、国内感染者での統計)となり、深刻さを増しています。その中で感じる事もあり、やはりイタリア便りに記したいと、また書き直させて頂く事にしました。
今になり、いかに世界中が揃って中国に頼っていたのだと言うことを、改めて感じています。
観光大国イタリアも日本同様、春節に訪れる中国人観光客の数は毎年相当なもので、私の主人も例年この時期には中国人ツアーの運転で休みは無く(規則に則った休みはありますが、自宅には戻れません)留守続きのはずでした。
が、今年はたまたまその前に終了したツアーから帰宅し、三日後に春節のツアーでくる中国人グループをピックアップしに出発すると言うタイミングで全てストップ!イタリアはヨーロッパ内でもいち早く中国からの直行便の欠航に踏み切りました。その時点では、どのくらい続くかによっては死活問題だと漠然と思うくらいだったのですが、先行きの見えない今、確かに死活問題ではあるものの(涙)リスクを思えば先にキャンセルされていた事を幸いと取るしかありません。
イタリア内での事態急変は、2月21日にミラノを州都とするロンバルディア州内で一人の男性が感染していると発覚した事から始まります。生憎妊娠8ヶ月のその方の妻も陽性と診断されました。その男性は1月末に中国から帰宅した友人と夕食を共にしたそうです。当然感染源はその友人と疑われたものの、その友人は何と陰性。
感染源がわからないと余計に不安を煽ります。その小さな町はすぐに閉鎖。地域の人を徹底的に検査する事により、すぐに感染者数が47人と言う結果が出て、その2日後には150人を超える数と発表されました。残念な事に、感染者の行った病院の医師や看護師にも感染発覚。
陽性と出た方の中には自覚症状が全くない人も多い事を思うと、実の所世界中でどれだけの隠れ感染者がいるか、全く予想が付かないのではないかと不安になります。
同時期に、ヴェネト州のパドヴァで死亡者が出ました。
北イタリアの7つの州では全ての学校が直ちに閉鎖。中には2月いっぱいは少なくとも休校と既に発表している州もあります。ミラノのドゥオモを始め、美術館や公共施設なども閉鎖される事になりました。ミラノに住む友人が、住人たちが不安からパニック気味でスーパーに食料品を買い込みに行く人が殺到。列は多いし物は無いしで、コロナウィルスよりパニックを起こしている人々の方が怖いと言っていました。私の住む辺りではまだ平穏ですが、ただ、一件疑いがあると発表された途端に消毒薬を求める人たちが殺到し、売れ切れ続出です。
先述したミラノの友人は、会社も出社をせず自宅にいる様指示がでたらしく(出社するとしても公共交通機関は利用禁止)、予約をいれてあった病院関係の受診もキャンセルし、二週間分くらいの食糧を買い溜めして暫く家に篭ると話しています。ヴェネツィアで観光の仕事をしている友人も、観光客の案内をも控える様にとの通達があったそうです。
パニックに陥るイタリア人は容易に想像出来るのですが、もしかしたらそんな性格も手伝って、そう言った措置や対策が取られるのが早いのではないかと、私は実を言うとものすごく感心しているのです。政府の決断も早い!
”イタリア人は一般的にかなりの不安症である。故に保守的=守りが堅い。”
私が四半世紀以上暮らして既に認識していた事ではありながら、更に今回確信しました。
恐らく外国人旅行客はしばらくイタリアに来られなくなるだろうと思われます。イタリア政府が徹底的にこのウイルスから国(国民)を守ろうとガードを固めているのです。
感染者が集団ででた小さな町は町自体が閉鎖され、住人の外部への行き来を禁止している程で、徹底的に感染源を追求しています。
イタリア国内全ての学校における遠足や修学旅行は、国内外に関わらず禁止するという勅令が政府から発表されたのもすぐでした。丁度カーニヴァル期間で最終日曜日だった昨日、例年なら仮面を被り仮装して華やかな人達で賑わうヴェネツィアでも二人の感染者が出て入院し、急遽残りのカーニヴァル関係の行事を中止するという苦渋の決断も下しました。この迅速さは称賛するべきなのでは無いでしょうか。
元々手洗いをあまりしないイタリア人なのですが、やっと手洗いの大切さを認識したかの様に、先程もテレビで手洗いの仕方を詳しく説明している番組がありました。
また、マスクをしない国民でしたが、北イタリアはマスクをしている人達が多い様子がニュースをみていると伺えます。
今現在、イタリアに限らず感染者の治療に当たっている医師を始め、この新型ウィルスを収束させるべく動いているすべての方々に敬意と感謝を捧げます。
そして自分達は何が出来るのか?
過剰な心配や不安は免疫力を下げてしまいます。こんな時だからこそ、適切な予防をしつつ、しっかり睡眠をとり美味しい食事をして、楽しく笑って毎日を過ごしたいものです。
いつかは必ず収束します。
皆様、どうぞ明るく、そして呉々もご自愛くださいませ。
長く取り留め無くなり失礼いたしました。
次回は明るい話題をお約束して!

Ciao alla prossima
イタリアアッシジから奈緒美でした。


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